北村耕治の雑記

すえび

メバルの煮つけを頼むと、今日のメバルはこまいからよしておけといわれた。
では店主のおすすめは何かとたずねると、海老の炊いたやつがあるという。

すえび

ふっくらと赤く炊きあがって、足がくるくると丸まっているのがかわいらしい。

箸なんていらないよとポケットティッシュを渡された。
店主がツノを持ってパカリと頭の殻を外すとみっちり詰まったミソが顔を出した。
いわれるままに頭からかじる。
あまい、うまい。

もったいなくて、殻の裏についたミソも指ですくいとる。
あとは身体についた殻ごと、尻尾までばりばりとかじる、かじる。
頭の殻も食べられないかとたずねると、ツノが硬いからやめておけという。

常連とおぼしき男性が入ってきた。
熱心に海老をかじっている私を一瞥して奥へと進む。ビールを頼んでいる。

日が高くて風も暖かい。
ビキニ姿の若い女性がうろうろしている。
店主と常連がうれしそうに「ビキニ、今年の初ビキニ」とささやきかわしている。

瓶ビールのおかわりを頼んだ。
ところでこれは何エビかとたずねると「すえび」とのことだった。