ありふれた話2016

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ありふれた話2016

2016年6月21日(水)~7月3日(日)
戯曲・演出:北村耕治
場所:
大阪 ウイングフィールド
東京 新宿サニーサイドシアター
松本 上土ふれあいホール
仙台 gallery scéna
石巻 多目的ホール 第3ステージ

出演

山ノ井史(studio salt)
高木充子(劇団桃唄309)
環ゆら
菊池ゆみこ

スタッフ

舞台監督:橋本慶之
宣伝美術:土谷朋子(citron works)
制作:野﨑恵/猫の会
企画製作:猫の会

おはなし

より遠くまで、逃避行

仕事柄、旅の多い生活をしています。
仕事じゃなくても、なにかと理由をつけては遠くへ行きたがります。

そんな私のさがなのか、昨年は気まぐれな不倫旅行の劇をつくりました。

これが思いのほかたのしくて。
東京以外の場所で上演したらどうなるんだろうと興味がわきました。

きっとよく分からないんじゃないかと思います。
首都圏ローカルな地名や国道、交通手段がたくさん出てきますから。

だけど何かが通じるだろうとも思うのです。
だって旅って、そもそもそういうものじゃないですか。

行く先々で、あなたに出会えることを楽しみにしています。

より遠くまで、逃避行。
どうぞよろしく。

猫の会 北村耕治

舞台写真

準備中

前の公演

猫の会初のツアー公演です。この前年度に取り組んだ「ありふれた話」が楽しすぎて、どうせなら全国まわっちゃおうよと勢いで準備をはじめた公演でした。いま思うと何から何まで危なっかしく、背筋が寒くなります。キュウキュウのスケジュールでずっと移動し続けて芝居し続けて酒を飲み続けて、よく無事故で帰ってこれたもんだわあ。相棒の橋本くんを初め、参加してくれたメンバーには感謝しかありません。

演出は初演から全面リニューアルして、どんな空間にでも対応できるように作り変えました。当時は畳2畳のスペースさえあればどこでも芝居ができたし、実際そういうものが作りたかった。あちこち旅する話を携えて、本当にあちこち行きました。

大阪は街全体の湿気と熱気、そして劇場スタッフの橋本さんに連れられて深夜に食べにいったたこ焼きが忘れられません。お客さんはどこまでも暖かく、物語の深みからむんずとつかんだ何かを言葉に乗せて感想を語られるお客様が多かったのが印象的でした。

東京会場となったサニーサイドシアターは、今はもうないみたい。あそこはもしかして、猫でも飼っていたのかなあ。劇場入りするとなぜか場内にアンモニア臭が立ち込めており、観客がいない間は喚起と臭い消しに明け暮れました。本拠地の首都圏だけあって、リピーターのお客様が多くいらっしゃいました。夜は連日、新宿三丁目の呑者家。

松本では、シアターTRIBEの永高さん・ちんてんめいさんに大変お世話になりました。たったワンステージ上演するために押し掛けた私たちに、ご自身たちも公演準備中でありながら様々なお力添えをして頂きました。お客様は決して多くはなかったけれど、また来てほしいと直接お声がけくださったご婦人がありがたかった。そしてとにかく蕎麦。日本酒は「夜明け前」。

仙台は盟友・大河原準介氏のプライベートシアターで、光栄にもこけら落としをさせて頂きました。名取北高校演劇部の皆さんが1ステージ買い取ってくださり、ニッコニコで観劇してくださったのがとてもうれしかった。仙台は魚がおいしかったなあ。あの居酒屋、なんていったっけ。もはや名前が思い出せません。

旅の終着点は石巻。第一回いしのまき演劇祭のビジターとして上演させて頂きました。明るくほがらかなお客様たちに、気力体力とも限界に差し掛かっていた出演者たちが大きな力を頂きました。ありがたかった。そして、ホヤ。とにかくホヤ。差し入れで頂いた銘柄は「日高見」。そして何気におすすめなのが「墨廼江」です。

この公演を最後に猫の会は活動休止に至りました。そもそもこのツアー公演は、ここから先10年を見据えた種まきのつもりで実施したわけですけど。各地でよくしてくださった皆様、またおいでと言ってくださった方々には申し訳なく思っています。

とはいえ、私は今とても幸せな生活を送っていまして。きっと満たされているからこそのないものねだりで、あそこで休止せずに猫の会を走らせ続けていたら、いま自分はどこにいるんだろうというタラレバも。たまに考えたり考えなかったりしています。